時事雑感  重なり合う潮目

  • 2019/3/9

平成が終わろうとしている。平成が始まった1989年、在ペルー日本大使館で専門調査員をしていた。前年から、毎日数回、天皇の病状を伝える公電が届いた。元号が変わったころからは、米ソ交渉や東欧情勢を伝える公電の数が増えた。昭和から平成への日本の潮目に、いくつかの世界の潮目が重なり、激しく情報が往来していた。インターネットが普及する前の話である。

この年の11月、冷戦の象徴、ベルリンの壁が取り壊された。直後には、チェコスロバキアでビロード革命が起き、12月には、ルーマニアで、チャウシェスク政権が崩壊した。その後、東欧では共産主義からの離脱が相次ぎ、1990年10月にはドイツが統合。1992年のEU条約調印に向かう道筋が付けられた。チャウシェスク殺害と同じ12月、地中海、マルタ島沖のクルーズ船では、ブッシュ(父)米国大統領と、ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長との会談が実現した。すでに、1988年6月には、前年に調印された中距離核戦略(INF)全廃条約が発効しており、核軍縮の動きが進んでいた。この会談で、米ソ首脳は、冷戦の終結を宣言した。

2019年3月。もうすぐ平成が終わろうとしている。世界の潮目も、また、重なっているように見える。欧州では、英国が、もうすぐ、EUから離脱しようとしている。米国は、この2月、INF全廃条約の破棄を発表。米中の貿易を巡る紛争や、南米ベネズエラ情勢を巡る米国とロシア、中国などとの対応の食い違いは、「新冷戦」などの表現とともに、報じられるようになった。歴史が、単純に、繰り返したり、逆行したりするとは思わない。ただ、今度は、公電ではなくメールやインターネットを見ながら、既視感のようなものを禁じ得ないのは、本当だ。( A. T. )

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