書評 プレイバック・ビブリオバトル(4) 『十二世紀のアニメーション 国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの』(1)

  • 2019/3/17

 

『十二世紀のアニメーション 国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの』 高畑勲著 1999年 徳間書店

いつの学部教授会だったろうか。ビブリオバトルへの教員参加者の募集があった。手を挙げたのは3人。高田先生、永井先生、そして僕。2017年の第1回四日市市☆映画祭で、トークセッションをした仲間だ。セッションのテーマは、「映画のなかの女」。バトルでも、僕は、映画の本を紹介しようかな、と何気に考えていた。

3月末、古書店で、たまたま、この本を見つけた。読みたいと思いながら、そのままになっていた本だ。何年か前、「三鷹の森 ジブリ美術館」で、高畑の『一枚の絵から 外国編』(岩波書店)を買った。そのなかに出てくる。それも冒頭付近に。さっそく購入。読み始めた矢先、高畑の訃報。4月5日逝去。82歳。出身は伊勢市である。紹介するなら、これしかない。これに決めた。

俎上に上げられるのは、『信貴山縁起絵巻』、『伴大納言絵巻』、『彦火火出見尊絵巻』、そして『鳥獣人物戯画』の4巻。絵巻の写真の下に、絵解きが。それが如何にも、アニメ監督らしい。こんな具合だ。『信貴山縁起絵巻』「飛倉の巻」第2シークエンスの頭の一部、「霞のなかにロングショットの深山が姿をあらわすと、ズームインしつつオーヴァラップ、その奥にある(はず)の右面構図の住房を(見出す)」。撮影の指示を聞いているようで、鑑賞している、というよりは、撮影現場にいるような、不思議な臨場感がある。さばいている、といった感じか。

サクサクと、読み進められる本ではない。実際、時間がかかった。それには、もう一つの理由がある。この本、読書以外の、色々なことを僕にやらせてくれた。やらされた、と言うべきか。つづく。( A. T.)

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