時事雑感 パリは燃えているか(2)

  • 2019/4/21

『パリは燃えているか』。第二次世界大戦末のパリ解放を描いた、実話に基づく長い映画だ。初めて見たのは、中学生か高校生のころ。テレビでだった。その後も何回か見ている。今回は、記憶だけが頼りだ。いささか心許ない。ノルマンディー上陸後、連合軍がパリに近づくなか、連合軍やレジスタンスの足並みが揃わない。パリ進軍が迫り、ヒトラーは、パリに電話を入れ続けた。パリは燃えているか。パリの破壊をヒトラーは命じていた。降参を決めたひとりのナチス側の将軍が、パリの街を救った。字幕の方の、ヒトラーの声は耳に残っている。ノートルダムの映像と鐘の音も挟まれていたような。心許ないけれど。

ノートルダムは、欧州が主戦場となった第一世界大戦も潜り抜けている。2つの世界大戦を生き延びたノートルダムの話は、国際関係の講義でも時々する。そのことを、過大に評価するつもりはない。幾つかの偶然の産物なのだろうが、そこにあるだけで、フランスばかりか、欧州の歴史をも振り返りさせる建物がある、というのは重さは感じる。

燃えずにきたパリのなかで、ノートルダムが燃えた。続報を追いかけていると、ショックを受けた人は、世界中にいるようだ。見たことのある人もない人も、宗教を越えて。ノートルダムには、大規模な復興の歴史がある。フランス革命や7月革命のなかでノートルダムは、荒らされ、その後放置された。ノートルダムの荒廃ぶりを描いたユーゴーの小説『ノートルダム・ド・パリ』をきっかけに復興が始まり、その後世界遺産とされる姿を取り戻していた。火災の翌日、早々に復興のための募金が集まり始め、マクロン大統領もテレビを通じて5年間での復興を呼びかけた。

ノートルダムに、また、新しい歴史が加わる。時間と資金が許すならば、復興前、復興中、そして復興後のノートルダムを、それぞれに見てみたい。今の思索をそんな体験と止揚させ、僕の経験に加えてみたい気がする。( A. T. )

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