展評 M.C.エッシャー展(1)(2)

  • 2019/4/28

 

(1)メタモルフォーゼのこと

 M.C.エッシャー展。菰野のパラミタミュージアム。エッシャーに再会した。おそらく同じ作品に。わずかに10日ほどの時間を隔てて、もちろん、違う場所で。エッシャーの絵巻物のような長い版画。三重県立美術館で見たばかりだ。「展評 三重県立美術館 常設展(1)」でも紹介している。期せずしての再会だった。

その作品は、特別展の最後にあった。展示は、ほぼ、年代順に並んでいる。制作年を見ると晩年ではない。作品の大きさもあるだろうけれど、エッシャーの転機といった意味合いでもあるのだろうか。キャプションを見て、ひとつ気になった。あとで、2つの点の展覧会の展示作品リストを並べながら、県美に電話を入れた。県美の展示作品リストでは、「メタモルフォーシス」となっているのに、パラミタミュージアムのリストでは「メタモルフォーゼ」とある。図録でもそうなっている。作品自体の左右の文字の部分にも、Metamorphose、とある。

こちらの疑問をお伝えすると、調べてから折り返してくれるという。わざわざ調べて下さったようだ。電話が入った。購入時期の違いで名称が違っているのではないか、という。収蔵館によっては、両方を併記しているところもあるそうだ。ちなみに、パラミタミュージアムで展示されていたのは、長崎のハウステンボス美術館のコレクションである。

2階にある特別展の会場に向かうスロープでは、いつも萬古焼のコレクションの一部がテーマ展示されている。このときは有節萬古が展示されていた。有節萬古は「展評 古萬古 ―弄山生誕301年目の春―展」でも触れている。この時は、腥臙脂釉(しょうえんじゆう)をかけた作品が多く、腥臙脂釉のピンク色が目に鮮やかだった。( A. T. )

 

(2)似ている

スロープに展示された有節萬古だが、はじめは、日本らしい季節を活かしたうつわの展示ぐらいに思っていた。ところが、エッシャー展を見ていると、その中にあるいくつかの作品が、有節萬古の絵柄のいくつかと似ているような気がしはじめた。

特に、オールオーバーで描かれた桜の花と葉の絵柄のなかには、葉の造形が連続的に変化しているように見え、そうした葉が大きく波打つ曲線に沿って並べられているように見えるものがある。円形に配置されているように見えるところもある。連続的な造形の変化は、例えばエッシャーの「太陽と月」に描かれた翼の形をわずかに変えながら飛ぶ鳥の様子にも似ている。曲線に沿った配置は、例えば、繋がった2つの渦に沿って魚が並べられた「渦巻き」に。他にも似た感じの作品が点々と。近くにいた係りの方に聞いてみた。有節萬古は、やはり桜の季節にちなんでの展示のようで、エッシャーとの対比を意図しているわけではないという。そういう鑑賞のされ方もあるかもしれませんね、という話だ。それにしても似ている。

前回パラミタミュージアムを訪ねたのは、エロール・ル・カイン展の時だ。その時は、まだ寒く、タバコを吸いにガーデンに出ると体が小さくなった。今回はワイシャツを腕まくりしながら館内を回った。2か月の間に、どうやら、季節は春を通り越したようだ。2階から降りて、ガーデン脇の灰皿に立ち寄った。ちょうど正面に、小さな黄色い花の群れが見えた。見覚えがある。山吹だろう。長野だと5月に入ってからの花だ。今回のアイキャッチに使うことにした。( A. T. )

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