時事雑感  乱読日和

  • 2020/3/3

 コロナウイルスには閉口している。見たいと思っていた展覧会に出かけられない。そればかりか展覧会が中止になったり、美術館や博物館が休館になったりもしている。外出することすらも憚られるようになってきた。病気で寝込んだ時は実際に動けないのだから仕方ないのだけれど、今回は、今のところ自由に動ける。普段ならば美術館や博物館に出かけられる至福の時期なのに、今はそうはいかない。さて、何をするか。

 大学の教員にはありがちな話だが、僕もご多分に漏れず、仕事、趣味、そして生活の区別がかなり曖昧になっている。美術館や博物館で過ごす時間も、それら3つが区別なく共存している。大学の講義で使う話を見つけることもある。鑑賞に浸りきることもある。時にはぼんやりとリラックスしたりもする。同時に3つとも体験することもできる。よく似た体験は読書でもできる。はっきりと目的のある調べ物の時を除くと、仕事なのか、趣味なのか、あるいは生活の一部なのか、区別なくページが進んでいくことは珍しくない。そうだ、読書にしよう。

 僕には積読(「つんどく」と読む)の習慣がある。といっても5冊以上が積読文庫にあることはめったになく、今回も3冊だけだった。併読中だったのが3冊。これで6冊は確保できた、とはいえこれではどう考えても足りない。どうせなら以前から気になっていながら入手していなかった本を何冊か手に入れ、積読文庫を充実させよう。古書店に出かけた。何冊か見つけた。図録も幾つかあったのだけれど、この際だから図録は禁欲して、新書か選書か文庫を。小説、クラシック音楽、そして情報関係の本を合計4冊購入。まだ足りないような気がしたので、我が家の書庫から既に読んだことのある本だが科学コミュニケーション関係の本を2冊とパンデミック関係の本を3冊。併読中も合わせて15冊が積読文庫に並んだ。もうすぐ読み終わりそうなものもあるとはいえ、積読文庫の数としては、例外的事態だ。

 コロナウイルスという例外的事態には、積読文庫15冊と言う例外的事態を。どうせ本は本を呼び、時間と資金さえ許せば積読文庫の例外的事態は継続するだろう。などと、他人事のように言っておくが。もはや他人事ではないコロナウイルスの例外的事態の方は、今ある15冊の読了を待たずに収束してくれるといいのだが。(富田与)

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